雨水フォーラム2010 in 京都
京都・雨水の会設立
10周年記念イベント

各地で活躍する水や雨水の専門家の方々にお集まりいただき、これからの水問題や雨水の活用、普及・安全性などについて参加者と一緒に討論しました。この結果を今後の活動につなげていくことを目指しました。
○ 日 時:6月26日(土)13:00〜17:00
○ 場 所:京エコロジーセンター 1階 シアター
○ 内 容:
1)雨水の水質などについての映像「雨水」の放映。
ファン・スンイァンさん作(韓国/ソウル放送 ディレクター)
2)講演「都市における雨水活用を社会に根付かせるために」
村瀬 誠 さん(NPO法人 雨水市民の会 事務局長、東邦大学薬学部客員教授)
3)講演「住まいを変えれば、暮らしが変わる
〜雨水利用から始まる碧いびわ湖(旧滋賀県環境生協)の新展開〜」
村上 悟 さん(NPO法人 碧いびわ湖 代表理事)
4) 講演「水循環基本法〜水行政の縦割りを廃止し統合化を」
松井 三郎 さん(京都大学名誉教授、水制度改革国民会議理事長)
5)意見交換(パネルディスカッション)
終了後懇親会を行った。
参加者 58名

パネルディスカッション
○ 講演内容詳細
「都市における雨水活用を社会に根付かせるために」
村瀬 誠 さん
雨水の貯留・浸透・利用システムを、都市における新たな雨の管理として社会に定着させて行くには、以下の課題を克服して行く必要がある。
(1) 制度化:指針や条例にとどまらず法としての整備を要す。
(2) 誘導化:墨田区では1995年からタンクの設置費の一部を助成しており、このような財政支援が必要だ。自治体の一般会計の財源を組み替え、雨水利用に伴う水道料金を減免するなど、検討が必要である。
(3) 技術開発:求められる水質に応じ、安価で管理が容易なシステムの技術開発が必要。ドイツの雨水利用工業規格(DIN)により雨水利用が普及したことに学び、日本でも雨水利用設備の規格化を目指すべき。
(4) 技術者の養成:雨水利用技術に熟練した建築士や設備士の養成が不可欠。
(5) 雨水の関係団体の連携:2008年、雨水に関する市民、自治体、国、企業の緩やかな連携組織「雨水ネットワーク会議」が発足した。新たな都市における雨水管理のイニシアチブを発揮して行きたい。

「水循環基本法〜水行政の縦割りを廃止し統合化を」
松井 三郎 さん
水制度改革国民会議は、水に関する行政の建割りを廃し、水循環の再生の為の総合的な水循環基本法、つまり「水の憲法」を策定しようと、2008年6月に結成された。
河川、水道、下水、地下水、工業用水、小沼海など水関係の法律は現在、32あるが、それぞれが個別に管理されている。その結果上流と下流では河川は寸断され、ダムが建設され、化学物質に寄る水質汚染も進行するなど、人間の生命を維持する上で必要不可欠な水資源が危険にさらされている。また、地下水や都市雨水など法制化されていない分野もある。
水資源を統合的に管理するということは、質と量、生態系の調和の取れた河川、地下水を持続的に保っていくことを意味する。それにはこれらの水資源の利用や汚染に対して公私にわたる経済的な責任が発生する。
これまでのような水道、下水道料金という狭い枠組みではなく、もっと広い理念に基づく経済負担をどう分担するかを整理していく必要がある。

「依存から、自立へ」
村上 悟さん
(雨水フォーラム後の感想)
「今度10周年のフォーラムを開きますから、村上さんからも一つお話をなさいませんか」
まだお会いして1ヶ月ほどしか経っていなかった私に上田さんからお誘いをいただいた時は、正直戸惑いました。
しかし、水のご縁では京都と滋賀とがつながる貴重な機会と思い切ってお受けしました。
私の講演の主題は「依存から自立へ」。下流府県民だけでなく滋賀県民自らもびわ湖への依存度を高めつつあることへの警鐘と、身近な水源を見直すきっかけとしての雨水利用の意義についてお話させていただきました。
奇しくも、私の前にお話いただいた村瀬誠さんの講演中でも「依存から自立へ」はキーワードのひとつに挙げられました。
京都の皆さんと共に雨水利用を広め、「母なるびわ湖」からの「親離れ」を促していく中から、水管理のあり方全体も、行政依存から市民主体へ変えて行けるのではないか、と予感しています。

NPO法人 京都・雨水の会
京都市山科区御陵封ジ山町3の52
E-mail mail@amamizu.org