一日中、水・水のえん 「雨の水質を考えよう」

 6月25日(土)、京都市中京区のさいりん館で、「一日中、水・水のえん」が開催された。この催しは「水関係の活動団体」や「水好き」が一堂に会して、わいわいと自分の想いを伝え、想いを聞く場を持とうという意図で企画された催しで昨年に続いての2回目の開催です。
 京都・雨水の会では、NPO法人 雨水市民の会 理事でもある東京都足立保健所環境衛生監視員の高橋朝子さんをスピーカーにお招きし「雨の水質を考える」のタイトルで分化会を主催した。

 分科会の会場は1階奥の間2つを解放し、椅子と大テーブルを置いた部屋である。外は猛暑を予測させる日差しの中、約30人もの人で会場が満ち溢れ、扇子やうちわを手に手に高橋さんのお話を熱心に聞き、質疑をした。
 他にも「小水力発電に挑戦」「豆腐と水」「名所図会にみる水のある風景」「鴨川は今」「せっけんと合成洗剤の違いがわかるWS」など多岐にわたる分科会があり、来館者はそれぞれのお目当ての分科会に参加していた。

さいりん館玄関と雨水タンク
さいりん館玄関と雨水タンク

雨水の質
 さて高橋さんは、会場に向かって、もし水道がないときは川の水、池の水、雨水、お風呂の残り水のどれを使いますか?と問いかけ、トイレ流し、洗濯、洗顔、調理飲料などそれぞれの用途によって望まれる水質が異なり、人が直接触れる水、口に入る水には健康安全性が高い水質が要求されるが、雨水は少しの処理を加えるだけでどのような用途にでも使うことが出来ると解説をし、雨水タンクに貯めた水と水道水との水質を比べたデータを見せて、「雨水には水道水と同様に病原性の細菌を含まない」「雨水には屋根材などの金属イオンの影響が少なく水道基準以下」「水のイオン純度は水道水よりも蒸留水に近い」点を強調された。さらに、池や川の水は微生物が存在するので危ない。雨水の方が危険性が少ないと付け加えられた。

 次に日本建築学会編「雨水活用建築ガイドライン」の、「整雨(物理的にきれいにする)レベル」と「制雨(細菌の除去)レベル」の二つの尺度を用いて雨水の活用用途を分類するという概念を紹介された。
 例えば、庭木の水やり用には、「整雨」も「制雨」もせずに雨水をそのまま使える。一方、洗面・飲用には、活性炭やフィルターを使って「高度の整雨(浄化)」処理をした上で、塩素処理やオゾン殺菌、煮沸などの「高度の制雨(殺菌・消毒)」処理をする等である。

 次に、今日は東北地方太平洋沖地震から3ヶ月が経とうとしているとあって、「放射能と雨」の話題にも触れた。空中に放出された放射能(ヨウ素、セシウムなど)は、細かい粒子となって地面に降下したり、あるいは、雲に乗って広域に拡散移動し雨、霧に含まれて地面に降下蓄積する。降雨については、原発爆発事故のあった茨城県ひたちなか市でも離れた東京都新宿区でも距離に関係なく高い放射能が観測されたが、日が経過するにつれその値は減少した。雨水市民の会が5月8日に雨水タンクの水質検査をした結果では、ヨウ素は不検出、セシウムは微量の検出があったが、指標値の20分の1の値であった。との報告があった。  

 
高橋さんの話
高橋さんの話
 

所感
 「雨水は天然の蒸留水だからきれい。」との話をよく聞く。「そんなにきれいな水だったら飲んでも大丈夫ですよね?」と尋ねると、同じ口で「飲むのは自己責任です」と言う。???である。
 今日は会場から、「雨水を飲料用に使っている。」との発言があった。よく聞くとそのまま飲んでいるのではなく逆浸透膜で処理をしてから飲んでいるとのこと。これなら安心できる。
 さて、雨のもとは空気中の水蒸気でありこれが液体になれば勿論蒸留水である。しかし雨はその水蒸気が微細な塵を核にして水滴になって出来る。出生の由来からして不純物を含んでいる。そして、水は溶解性が高く何でも溶かす。中でも蒸留水は最高の溶解性を持っているので蒸留水になった瞬間から空気中のガス成分を溶かし込むので、本当の意味の蒸留水は存在し得ない。分析で使う蒸留水はガラス瓶にいれてしっかりと栓をして保管する。

 次に、空気中にはダストやガスがいっぱい。屋根にはごみや植物、虫の死骸がいっぱい。そんな場所を通過してきた雨水が蒸留水の筈がない。と思っている。実際に空気や貯留雨水をフィルターでろ過するとろ紙が黒ずむ。
 さりとて、蒸留水ほどではないにしても、そんなに不衛生で汚くはないだろう。そんな疑問に応えてくれるのを期待して、高橋さんのお話を楽しみに分科会に参加した。

 水質調査をした結果、川や池の水よりもむしろ「雨水の方が安全」との話に納得。又、用途に応じて「整雨」「制雨」の両面を考えて、それぞれについて、このような処理を行えば良いという「雨水活用建築ガイドライン」に、今まで頭の中でもやもやしていたのがすっきりと整理できた。いささか汚れているかもしれないが、一度、蒸留という最高級の水処理を経過した雨水は、整雨(浄化)処理や、制雨(滅菌)処理をするにしても、河川湖沼水よりははるかに簡単であろうことは容易に推察できる。雨水はもっともっと活用できる。すべきである。
 久しぶりに、知りたかった事のストライクゾーンに入った内容の、面白くて有意義な講演に参加できたので喜んでいます。

天野光雄 記

雨水の水質を測りました
「水のえん」では高橋さんが実際に水道水と雨水の水質を測りました。その結果は以下の通りです。水道水はさいりん館のものを、雨水はこれもさいりん館に設置されている雨水タンクより採取しました。

  水道水 雨水
電気伝導度
(μS/p)
117 21
pH 6.5 5.5

 電気伝導度(率)とは、水の電気の伝わりやすさを表す指標です。純水の電気伝導度は理屈の上では0、つまり絶縁体です。測定結果から雨水は、水道水よりもきれいであるということが解りました。
 pH(ピーエイチ)は、水素イオン指数と言われ、水の酸性、アルカリ性をあらわす指標です。7以下は酸性、7は中性、7以上はアルカリ性とされています。5.6以下は酸性雨とされていますので、今回の雨水は酸性雨気味であると言えます。但し、溜めている経過時間によっても変わるそうなので、雨水が一概に酸性雨であるとは断定できません。今回はこのような数字が出たということです。
 バングラディシュなど水事情の厳しいところでは飲料水として活用しているという話を聞いていましたが、実際にきれいなものなのだということが解りました。酸性雨は少し気になりましたが。

林 敏秋 記
雨水と水道水の比較実験
雨水と水道水の比較実験

NPO法人 京都・雨水の会
京都市山科区御陵封ジ山町3の52
E-mail mail@amamizu.org

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